待合室の子どもたちに気軽に声をかけ、笑顔を絶やさない廣辻院長。スタッフの対応も温かく、院内は明るい雰囲気に包まれている。「限られた診察時間の中で患者さんをよく観て話を聞く。そうすれば性格や生活環境も見えてくるものです。患者さんの生活を垣間見ることで患者さんに合ったより良い治療法が決めやすくなります」と院長。

ここでは中高生のスポーツ少年たちがケガや故障で通院するケースが意外なほど多い。練習をやめざるを得ない彼らの気持ちを汲み取っての診察に、少年たちも勇気づけられる。

また家族の運転で遠方から来院する高齢の患者も増えている。昨年、院長は父親を亡くした。それまでは高齢の患者には「おじいちゃん、おばあちゃん」と声をかけていたが、今は「お父さん、お母さん」と声をかける。父親の死を機に、高齢の患者さんへの温かい思いが一層深まった。

開院以来定評あるペインクリニック。「特に腰痛にはブロック注射が効果的です。しかし患者さんとの話や雰囲気で、注射をしないこともあります。患者さんのライフスタイルを察した治療を提案し、納得をいただくことが一番ですから」と院長。だから口コミや患者さんの紹介で来院される方も多い。

在宅診療にも力を入れている。内科ではよくあるが、外科医の往診は珍しい。これもペインクリニックの患者ニーズから始めた。往診で、ガン患者の看取りに立ち会う機会が増えたという。「治すことを一番に外科医を続けてきました。しかし末期の患者さんや家族の方に寄り添う大切さを改めて学ばせていただきました」と話してくれた。